近年、①2020年の労働基準法改正により、2020年4月1日以降に発生した賃金請求権の消滅時効期間が2年から3年に延長されたことで、残業代請求権が3年間存続することになったほか、②2019年4月から順次施行される働き方改革関連法により、2023年4月から、大企業では既に適用されている法定割増賃金率の引上げが医療機関も含めた中小企業にも適用されることで、月60時間を超える時間外労働に対して50%以上の割増賃金率で計算した割増賃金を支払う必要が生じるなどの法改正がありました。また、これまで猶予されてきた医師の時間外労働の上限規制についても、2024年4月から医師に対する適用が開始されるなど、医師の働き方改革が推進されています。これらの法改正に適切に対応し、医療機関の経営への影響を低減するには、労務管理の見直しが不可欠です。特に、医療機関は、始業前の準備行為や仮眠時間、宿日直やオン・コール勤務など、労働時間管理に特殊性があり、適切な制度設計が必要となります。
また、医療機関は数多くのスタッフを抱えていることから、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント対応、問題のある従業員への対応などのトラブルが生じやすい業態といえます。
以下では、医療機関が抱えることの多い労働問題について、予防法務と臨床法務の観点から、どのような対応が必要となるかを解説いたします。
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