事例2 解雇
相談事例の概要
- 勤務態度に問題のあった勤務医に退職を促したところ、これを受け入れて退職の意向を示したが、後日、不当解雇だとして退職日以降の未払賃金の全額の請求を受けた事案。
- 当初は退職までの未払賃金相当額の請求を受け、紛争の長期化も予想されたが、相談者との話し合いの結果、迅速な交渉による早期解決を実現し、解決までの4か月分の賃金相当額の解決金による示談が成立。
相談内容
当初は退職までの未払賃金相当額の請求を受け、紛争の長期化も予想されたが、相談者との話し合いの結果、迅速な交渉による早期解決を実現し、解決までの4か月分の賃金相当額の解決金による示談が成立。
当事務所の対応
まず、クリニック側としては、形式的には解雇の形をとりましたが、実際は本人の辞職であるとの認識でしたので、退職時のやりとりなどをヒアリングして辞職であることの裏付けを進めるとともに、解雇とされた際に解雇を正当化できるように患者とのトラブルの内容や証拠の収集を行い、上記の内容を書面に整理して速やかに反論を試みました。
しかしながら、相手方勤務医は、退職ではなく解雇であり、当方の指摘する事由は解雇原因となり得ないとのスタンスを譲りませんでした。
これを受けて、当事務所としては、早期に示談を成立させて解決金の金額を低く抑える方向に舵を切るべきと判断し、相談者に対して、本件では形式的には解雇通知書を渡すなどの対応を行ってしまっていたところ、解雇とされた場合、過去の裁判例などに照らしても解雇事由としては弱く、労働審判や訴訟に発展し、紛争が長期化した場合には解決に至るまでの全額の未払賃金を支払う必要が生じかねないことなどのリスクを丁寧に説明した上で、最終的には相手方勤務医の主張を受け入れて速やかに示談を成立させました。
この点、本来、辞職であれば解雇通知書を渡したりすることなく、勤務医側から辞職届にサインをしてもらうなど、紛争が発生する前であれば複数の対処法があったところ、今後の予防策についても助言を行いました。
結果
結果として、相手方勤務医の請求を受け入れた形にはなりましたが、労働審判や訴訟に至った場合には何倍もの解決金を支払う可能性があったところ、裁判例に基づくリスク分析及び説明の結果、相談者から和解の方針についてご理解をいただき、最小限の解決金で示談を成立させることができました。