医師離婚時の配偶者による援助の清算
目次
1 配偶者を医院などで雇用している場合
医院を経営している場合、配偶者を自身が経営する医院で従業員として雇用するなどの形を取っている場合が多くありますが、そのような場合、離婚後も配偶者に引き続き医院の従業員を続けてもらうことは心情的に難しいものと思われます。
しかし、解雇の理由は法律上厳しく制限されており、離婚を理由に一方的に配偶者を解雇することができるわけではありません。仮に、妻側に不貞行為などの離婚原因があったとしても、直ちにそれが解雇の理由となるわけでもありません。
そのため、離婚の際には基本的には配偶者には同意して退職(辞職)してもらう必要があるわけですが、財産分与や婚姻費用・養育費などの交渉材料とされないように慎重に交渉を進めることが必要です。
2 配偶者またはその両親から資金援助を受けている場合
医院の開業に際して、配偶者または配偶者の両親から資金援助を受けている場合も多数存在し、離婚に際してその精算(返還)を請求される医師の方も多くいらっしゃいます。
その際、争点になるのがその資金援助が贈与なのか、貸与なのかという点で、贈与ということであれば返還に応じなくて良いことになります。
贈与か貸与なのかについては、当時のやりとりや借用書などの証拠の内容を清算する必要があります。また、離婚問題が表面化する前に、事前に資金援助は贈与で、返還の必要がないものであることの意思確認が有効な場合もありますので、事例に応じた事前の検討と準備が重要となります。