不合理な待遇格差の解決方法

不合理な待遇格差が存在する場合、会社に対してその是正を求めていく必要がありますが、具体的には次のような方法が考えられます。

目次

1 待遇格差についての説明を求める

契約社員や派遣社員のような非正規労働者について待遇格差が存在する場合、法律上、会社には説明義務がありますので(パートタイム・有期雇用労働法14条、労働者派遣法31条の2)、これを根拠にまずは会社に対していかなる理由による待遇格差なのか説明を求めることが考えられます。
このように説明を求めることで待遇格差の改善を促し、本当にその待遇格差に合理的な理由があるのか具体的に検討することが可能になります。

2 是正を求めて交渉・請求をおこなう

説明を求めた結果、その待遇格差に合理的な理由がないとなれば会社に対して格差是正を求めて交渉・請求を行うことを考えることになります。
同一賃金同一労働の原則に違反した場合であっても具体的な罰則が定められているわけではありませんが、仮に、合理的な理由のない格差と判断されれば不法行為に基づく損害賠償の対象となり得ます。
そこで、当該格差が不合理なものであり、損害賠償の対象となることを理由に会社にその是正と損害賠償を求めていくことが考えられますが、前述のようにどのような格差であれば不合理な格差として違法となるかについてはガイドラインや裁判例に照らした慎重な検討が必要となりますので、弁護士などの専門家に相談することをご検討ください。

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G&S法律事務所
野崎 智己(Nozaki Tomomi)

弁護士法人G&S法律事務所 パートナー弁護士。早稲田大学法務部卒業、早稲田大学大学院法務研究科修了。第二東京弁護士会にて2014年弁護士登録。弁護士登録後、東京丸の内法律事務所での勤務を経て、2020年G&S法律事務所を設立。スタートアップ法務、医療法務を中心に不動産・建設・運送業などの企業法務を幅広く取り扱うとともに、離婚・労働・相続などの一般民事事件も担当。主な著書として、『一問一答 金融機関のための事業承継のための手引き』(経済法令研究会・2018年7月、共著) 、『不動産・建設取引の法律実務』(第一法規・2021年、共著)、「産業医の役割と損害賠償責任及びその対処」(産業医学レビューVol.32 No.1・令和元年、共著)、『弁護士のための医療法務入門』(第一法規・2020年、共著)等。